その年のコンディションに左右されることなく、品質の『中核』をなす、つまりシャトー・マルゴー・ファーストラベルのアッサンブラージュの軸を構成する区画は、いずれをとっても350年以上も昔から素晴らしく安定した状態を保っています。これらの偉大なるテロワールは他の区画以上に、雨、乾燥、病害、そして人間の移り気への耐性を持ち合わせているのです。2011年も例に漏れず、収穫の38パーセントがファーストラベルに選ばれています。前年と同率です。もちろん主役はカベルネ・ソーヴィニヨンで、86パーセントを占めています。今年のカベルネは力強さとさほど一般的ではない活力を有しており、同時に優しい風味もたっぷり含んでいるので幸いにも全体のバランスはとれています。その他にメルロ(10パーセント)、プティ・ヴェルド(2パーセント)、カベルネ・フラン(2パーセント)です。シャトー・マルゴ−2011年は歴代最高レベルの凝縮感のあるワインです。ところがタンニンはほとんど感じられません。(2018年10月)
Margaux
気象条件
2011年のブドウ栽培の一年は、いわば夏のような気候でスタートしました。4月と5月は平年よりかなり暑く乾燥した気候で、ブドウの樹の生育開始や成長過程はとても早く進み、開花期は極めて早く訪れました。続く6月、7月、8月はむしろ涼しかったものの、特にマルゴー周辺では降雨量が少なく、このヴィンテージの特徴である乾燥した状態は変化することなく進みました。
また6月26日と27日は、これまでにない大規模な酷暑に見舞われました。早熟な年だったため、すでに色付き期を迎えようとしていたブドウの房、とりわけ逞しさに欠けるカベルネ・ソーヴィニヨンの区画の多くは、エショダージュ(過度の熱により、ブドウの生育が停止する害)を受け、場合によっては大きな被害を伴いました。通常であれば大事に至らないであろうこの被害も、おそらく、3か月間に及んだ日照りによる水不足のために拡大したのでしょう。
白ブドウ品種は8月25日から、黒ブドウ品種は9月5日からスタートした収穫は、暑くて乾燥した気候に恵まれました。そのおかげで、エショダージュ被害によって必須となった数々の選果作業も、急がず慎重に行うことができました。ただ唯一、私たちが失望したことは、収穫量です。1ha当たり29 hlとなり、2011年ヴィンテージは過去20年で最も少ない収量となってしまいました!