とにかく信じがたいけれど、事実です。それは2010年は少なくとも2009年シャトー・マルゴーと同じレベルの偉大なるヴィンテージということです!非常に乾燥したかつどちらかというと冷涼だったこの年、いつものとおりカベルネ・ソーヴィニヨンがその魅力を存分に発揮させています。アッサンブラージュの90パーセント占め、卓越した香りのフィネス、ひかえめな力強さ、そして繊細なみずみずしさをもたらして、ワインを「つくって」いるのがこの品種です。メルロ(7パーセント)、カベルネ・フラン(1.5パーセント)、プティ・ヴェルド(1.5パーセント)に残された余白は限られています。とにかくカベルネの区画の威力には感嘆させられます。
シャトー・マルゴー2010年は、怪物ではない巨人と言えます。魔力を感じさせるワイン。クラシカルでいて規格外。ピュアさ、フィネス、優しい後味、爽やかな風味に注目すると実にクラシカル。香りの複雑性、比類なきたくましさは実に規格外。現代の技術力と厳選に厳選を重ねた努力の結晶という点では「近代的な」ワインですし、同時に、時間やつかの間の流行を超えて生き続けるに違いないそのスタイルとその魅力を思うと、永遠不変のワインと表現できます。辛抱強く待ったほうがいいです。我慢できない気持ちはわかりますが。(2018年10月)
Margaux
気象条件
むしろ寒く乾燥した冬によって発芽はかなり遅れ、その後春の一定しない天候条件によって、開花は大抵不均質になり、メルローの老木では少々の花振いが発生することもあった。いつものように偉大なテロワールはその独自のリズムを強い、気候の不測の事態を操る印象を与えた。すなわちそこでは、開花は素早く均質で、完璧に上手く行った…。しかしこの土地に特に好まれるカベルネ・ソーヴィニヨンは、必然的に花振には殆ど敏感ではなかった。
6月末から収穫の終わりまで、私たちは再び、秘密を持っているボルドーの非常に偉大なヴィンテージだけが持っている乾燥のタイプを経験した。すなわちブドウの木の過度の成長を引き起こすための水分が余りないということであり、けれどもブドウの成熟を促進し、ブドウの実の凝縮性を活発にするためには、まさにこのことが必要なのだ。 私たちには、2009年または2005年の条件を同じ方法で少しずつ繰り返しているように見えた。
しかしヴィンテージは、決して全く似ていない。2010年は、2009年と同じ位乾燥したが、もっと涼しかった。真夏の気温ではないが、夜は常に涼しかった。この相対的な涼しさは、乾燥の影響を和らげ、恐らく偉大なテロワールのなんらかの若いブドウの木が品質の許容限度レベルを手に入れることを可能にした。またすべてのセパージュのアロマの表情に恩恵を与えた。特にソーヴィニヨン・ブランとカベルネにおいて顕著だった。
また乾燥によって酸味における非常に素晴らしいレベルを留めることができた。このことは、高いアルコール度数とのバランスにおいて理想的だった。(9月22日の収穫の初め)