このヴィンテージは大成功を収めています。１９３４年以降にシャトー・マルゴー、さらにはボルドー全体でつくられたワインの中では最高傑作。戦争によって極めて困難な環境が強いられていたこの時代を思うと胸が痛みます。人手不足、耕作馬不足、生産に必要な薬品不足、すべてが手に入りにくい状態。そんな中でのこのヴィンテージの成功は、感動的と言う以外に言葉が見つかりません。


シャトー・マルゴー１９４３年は、飲み頃を迎えています。ブーケは非常に繊細でエレガント。４０年代のその他グラン・ヴァンよりも、１９５３年をはじめとする５０年代の偉大なヴィンテージにより一層近いものがあります。味わいは柔和で調和も素晴らしく、後味にはドライ感以上に甘美さを感じます。甘美で優しい味わいのワインです。今でも美味しいですし、さらに数年の熟成も可能です。（２０１８年１０月）