シャトー・マルゴー１９５０年には驚かされます。比類なきというべき独特な気品があります。フィネスたっぷりのブーケは１９５３年さながらで、とはいえ複雑性は完全に同じとは言い切れません。繊細で甘美で、並外れた調和を感じさせる味わい。１９５０年は偉大なるヴィンテージ特有の余韻だったりボディは持ち合わせていませんが、憧れのマルゴー、つまり感覚よりも感動を与えてくれるワインです。弱々しいほどに思えた柔らかさが印象的なワインでしたが、奇跡的と言えるレベルでみずみずしい風味が保たれているのは驚きです。ボディのふくよかさが必ずしもたくましさの源ではないということを証明してくれるワインです。


向こう数年でさらによくなるタイプのワインではありません。魔力を感じさせる出逢いを逃さないためにも今すぐ飲むべきです。（２０１１年１０月）