人々は1961年のことを1900年以来最も偉大なヴィンテージだとしばしばコメントしたものです。記憶というものはいつも少々不誠実なところがありますが、このヴィンテージが並外れた品質のものであるという点に間違いはありません。この次にこのレベルのワインに出会うのは1982年まで待たなければいけませんでした。1961年は、天候条件の素晴らしさばかりでなく、ジャン・リベロ=ガイヨン先生とエミール・ペイノー博士の指導のもとで「現代ワイン醸造学」と称される初期の知識が遺憾なく発揮されました。シャトー・マルゴー1961年は、その荘厳さのみならず、柔和でバランスに優れ、芳醇で非常に濃く、そしてみずみずしい風味に満ちています。ブーケは独特。森の下草が香ります。香りには、非常に独特な筆舌に尽くしがたい果実や花系のフレグランスが重なり合っています。この時代のグラン・ヴァンの特徴です。このワインを香るだけで忘れられない至福の時が過ごせます。なんという感動!この感動的な味わいは、弾けんばかりのアロマ表現と完璧な調和を奏でています。濃密なタンニンの存在感は偉大ですが、同時に甘美で繊細です。後味は力強く同時に優しい抱擁のよう。とにかく素晴らしいワインです。
1961年は今でもそのみずみずしさは完全に健在です。ボトルに比べてマグナムの保存状態の安定性が確認できるようになってきました。もちろん今飲んでも構いませんが、永遠に生き続けるためにつくられたワインです。(2018年10月)
Margaux
気象条件
春の激しい霜と5月終わりの短期間の強烈な寒さによる例外的な花振いによって、悲劇的に収穫量が削減した。その後特に乾燥し暑かった夏の並外れた気候条件によって、この少ない収穫は、本当に稀にみる成熟と凝縮性を手に入れることができた。(9月19日の収穫)