2017年のパヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴーにも引き続き厳しい基準での選別を課しています。生産は全収量の22パーセントにとどまっています。テイスティングの対象となるロットの数は増え続け、アサンブラージュの可能性は無限です。シャトーでは何年も前から区画ごとの選別基準を厳しく設定。その効果があらわれてか、年々緻密さを向上させた仕上がりのグラン・ヴァンとパヴィヨン・ルージュに成功しています。
パヴィヨン・ルージュはタンニンのストラクチュアが際立っており、力強さと同時に絹のようになめらかです。アッサンブラージュの76パーセントを占めるカベルネ・ソーヴィニョンは長い余韻を生み出し、17パーセントのメルロは柔らかく果実感たっぷりのアロマをもたらします。その他、カベルネ・フランは4パーセント、プティ・ヴェルドは3パーセント配合されています。(2018年10月)
Margaux
気象条件
2016年は相対的に乾燥した状況で推移しましたが、2017年の最初の数ヶ月は十分な降雨量の恩恵を受け、地下水が安定しました。冬季は比較的暖冬と言えるコンディションでした。ブドウは4月4日あたりから出芽し、その後の春季の気温についてはさほど深刻に捉えていなかったのですが、4月27日と28日の夜間に霜の被害に見舞われた際には、私達のテロワールが何よりもまず気候条件に左右されるという現実に改めて直面しました。ただし立地条件が良かったため、私達の所有する区画内での霜害箇所は幸い全体の10%程度にとどまり、それは赤ワインを造る区画のみでした。
2017年のブドウの生育状況については、6月の最終週のみ降雨量が非常に多かったのですが、開花はすでに5月25日から30日にかけて済んでおり、その時期は効率的で均質な受粉に適したコンディションに恵まれました。2017年の7月と8月の気候は前年同様、暑く非常に乾燥していました。しかしながら、白ブドウの収穫が終わった直後、9月上旬に雨に見舞われ、2015年、2016年、2017年と類い稀な3年連続のビッグ・ヴィンテージになる予想は外れる結果となってしまいました。
収穫の際には、重大な決断を下すことになりました。ボトリチスの被害に遭う前に完熟度を満たさないブドウを収穫するか、それとも9月末に向けての天候の回復を見込んで、高い完熟度に達した凝縮感に富むブドウを収穫するか・・・高品質を追求する私達の方針に従い、また天候状況が回復するという予報を信じて後者の選択肢を選んだ結果、例外的な好天の下、9月12日から10月3日にかけて黒ブドウの収穫を無事に行うことができました。