2008

パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー

2008
すべての品種に関して成熟スピードはゆっくりで、結果的には晩熟でした。にもかかわらず、どこにもしわ寄せが行っていないのはとにかく驚きです。重度の希釈による熟度不十分といった影響が、いつもと同じメルロの2、3の区画で若干見られましたが、それらのテロワールはもともと、偉大なるヴィンテージでしかその威力を発揮できないテロワールですし。よって、品質の向上を目指す方針と教訓に従って、17パーセント近いぶどうをアッサンブラージュから外しました。サードワイン、最終プレスワインなどです。


ワインの約47パーセントがパヴィヨン・ルージュのアッサンブラージュに回されました。早い段階からバランスの良さが確認され、我々が想像した以上にヴィンテージの品質は均質であることは明らかでした。メルロは収量がそもそもカベルネより少なく、26パーセントに止まりました。たくましさ、肉づき、ボリュームをもたらしています。カベルネ・ソーヴィニヨンは68パーセント。ワインにフィネス、繊細さ、濃度、そしてみずみずしさをもたらします。ではプティ・ヴェルドは?しばしばアッサンブラージュにおけるこの品種の役割について考えます。アロマのオリジナリティとタンニンの活力をワインに含めるという意味で、不可欠ではないけれど必要かもしれません。しかしアッサンブラージュの5パーセント足らずです。残り1パーセントはカベルネ・フランで、その役割定義は難しいですが、慎重になるがゆえに手離すことが躊躇われる品種です。
2008年は素晴らしいパヴィヨン・ルージュを生んだヴィンテージで、たくましさやフィネスの面からは2006年に近い、もしかするとさらに生き生きとしていて、微妙に繊細さも上をいくかもしれません。アロマティックな香り、味わいの優しさと調和が印象的。飲み始めてもいいですが、急ぎすぎるのも勿体無い気がします。(2018年10月)

Margaux

気象条件

かなり乾燥した冬の後で、春は湿度が高く爽やかだった。4月の初めは非常にひんやりとさえしていた。私たちのソーヴィニヨン・ブランの区画であるヴィルフガス地区の私たちの不凍結散水システムは、4月7日に首尾よく始まる必要があった!5月は、特に湿度が高く、これは、ブドウの木の非常に感受性が高い時期のべと病の発展に非常に好条件を生み出した。よって2年続けて、植物衛生保護に関して非常に警戒する必要があった。それでも私たちは化学処理に代わる解決策を見つけるために努力を続けた。失敗が許される場合ではなかった…。


開花は6月の初めに始まり、まさに標準並みの時期だった。開花は、強い雨によって部分的に妨げられ、この雨は、間違いなくメルローの特定の区画で観察された花振いや結実不良の原因になった。ともかくより少ない「収穫」となった。つまりこの時にはより少ない収穫を予想することができた去年よりも少ないということだ。 それから夏を通して、7月8月9月については、平均よりも約2度気温が低く涼しかった。しかし8月と9月15日までは、定期的に雨が降ったが、7月は非常に乾燥した(せいぜい10ミリの降水量)。涼しさと湿度によって、もちろん色づきと成熟が遅れ、少しずつ私たちの楽天主義をむしばんでいった…。
その後さらに奇跡と呼ぶ者もいるだろう天候は、9月半ばから全く変わった。晴れて乾燥し始め、この好天は、実際にひと月遅れた収穫の最後まで続いたのだ!(10月3日の収穫)