パヴィヨン・ルージュの歴史の中で、これほど品質を厳しく追求した時代はなかったでしょう。現在の生産量は10年前のわずか2分の1。また、全生産量に占める割合は23パーセントで、2014年と同等レベルの基準での選別です。この選別基準の厳格化によって、パヴィヨン・ルージュはグラン・ヴァンにさらに近いスタイルのワインに仕上がっています。
カベルネ・ソーヴィニヨンの割合は74パーセント。濃厚な骨格と豊かな味わいを兼ね備え、ペッパーミントや樹液のようなアロマが長い余韻へと導いてくれます。メルロはブレンドの21パーセントを占め、柔らかな心地良いベールでワインを包み込みます。プティ・ヴェルドは4パーセント。スパイスの風味をもたらします。そして、カベルネ・フラン(1パーセント)でアッサンブラージュが完成です。
パヴィヨン・ルージュ2015年は、その骨格や優雅さ、長い余韻において、歴代最高峰と評価できるでしょう。(2016年4月)
Margaux
気象条件
例年に比べてかなり気温の低い冬となり、そのため芽吹きは、時期が遅れたものの、一斉に歩調の合った状態でした。そして春は日差しが多く乾燥した絶好のコンディションだったおかげで、テンポの速い均質的な開花を迎えました。暑さと乾燥は6月、7月まで長引き、最も気候に敏感な区画はとくに、水ストレスに見舞われることを懸念するほどでした。幸いにも8月に、適時の程よい雨に恵まれ、色付き期間が短縮し、均質化につながりました。9月に再び乾燥した気候に見舞われましたが、日中暑く、夜は涼しい、という組み合わせだったおかげで、豊富な糖分は美しい酸と調和がとれ、タンニンも滑らかで、複雑性に満ちた潜在能力のあるアロマを備えたブドウを得ることができました。
赤ワイン用ブドウの収穫は、9月18日から10月6日まで。ブドウは小粒で皮は厚みがあり、タンニンは濃厚になるであろうと予感させます。
2015年の状況は、2005年や2009年、2010年と並んで、まさしく偉大なヴィンテージの特徴をあわせ持つと言えるでしょう。