2014

パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー

2014
他の優良年と同様に、2014年も9月には素晴らしいインディアン・サマーが続き、まさしく救世主となった年です。赤ワイン用ぶどう品種はいずれも素晴らしい熟度に達し、凝縮、そして2010年以来最高といえる高い糖度とともに強い酸を持ち合わせている点が特徴です。このようなバランスはボルドーのグラン・ヴァン特有であり、力強いタンニンには常に心地よいみずみずしさが寄り添っています。醸造設備を刷新したことで、このような環境下でも、状況に応じた措置が可能となりました。伝統的醗酵タンクを取り替えるわけではなく、それらは今でも必要ですし、さらに細分化した区画の選別や技術面において精度の高い作業に取り組んでいます。この30年間、進歩革新の道のりを踏破してきた結果です!以前と比べて4倍もの数の醗酵タンクを用いて、それにもかかわらず、生産ワインの量は以前の半分となりました。特に技術革新の恩恵を受けているのがパヴィヨン・ルージュとサードワインであるマルゴー・デュ・シャトー・マルゴーで、近年目覚ましく品質が向上しています。その理由はもちろん、これらのワインの原料となるぶどうの選別基準が厳格化されたからです。もちろん最も卓越したテロワールは別格としてまとめられています。ともかく、パヴィヨン・ルージュは全生産量の24パーセントのみ。グラン・ヴァンであるシャトー・マルゴーは36パーセント、そしてサードワインとそれ以外のフォースワインが40パーセントを占めています。


以上のように厳選にこだわり、品質だけでなく個性の面でもパヴィヨン・ルージュはグラン・ヴァンへとさらなる歩み寄りを見せています。唯一肩を並べられないポイントは、偉大な区画にしか存在しえない魔力だけかもしれません。
パヴィヨン・ルージュのアッサンブラージュは伝統的です。77パーセントがカベルネ・ソーヴィニヨン、22パーセントがメルロ、1パーセントがプティ・ヴェルドです。(2018年10月)

Margaux

気象条件

とりたてて寒さの目立つ時期はなく、とても温暖な雨の多い冬に続いて“通常通り”の春を迎えました。5月はどちらかというと涼しかったものの、6月はかなり気温が上昇し、その結果、例年通りのタイミングで好条件の中、開花期が訪れました。そしてまとまりよく素早く開花し、昨年とは正反対の状況となりました。



7月は特に驚くような気候に見舞われなかったものの、8月の気温が極めて低くなり、私たちが知る限り、ここ数年間の夏の気候で最も涼しいと言えるほどでした。この低温によって色付き期のスタートが妨げられ、色付きの期間も長引く要因となりました。幸いにも降雨は比較的少なく、かといって、7月も8月も本格的な干ばつになることはありませんでした。ボルドー地方ではよくあることですが、8月末はあらゆる可能性を秘めていて、平凡なヴィンテージにとどまる見通しと同時に、傑出したヴィンテージになるであろうとの期待もできる状況でした。そして迎えた9月は本来の夏のような気候となり、私たちの希望通りの情勢となりました。暑く乾燥した気候のおかげで、ブドウは完熟に達し、収穫も最高のコンディションで開始することができました。まさに2013年とは対極的です。白ワイン用ブドウの収穫は9月15日から19日まで、赤ワイン用ブドウの収穫は9月29日から10月10日まで行われました。