これほど厳格な選別の恩恵を受けたパヴィヨン・ルージュは今までにはありませんでした:3分の1以上がサードおよびフォースワインに選別され、パヴィヨン・ルージュに回されたのは今年の収穫のわずか28パーセントです。もちろんこれはヴィンテージが不均質だったことを意味します。水不足と日照りによってブドウ焼けの被害が生じ、その困難を乗り越えたいという我々の思いがこれほどまでの厳選に結びついたのです。おかげでパヴィヨン・ルージュ2011年は、ファーストラベルの風味と品質に最も近く、2010年の仕上がりにも匹敵するワインとなりました。
主な品種の比率はほぼ昨年と同様です:カベルネ・ソーヴィニヨン65パーセント、メルロ25パーセント。ただ、プティ・ヴェルドを記録的な数値の8パーセントの割合で使用しています。約15年前に植樹改編を行なった区画がようやく素晴らしい結果を生み出し始めています。残りの2パーセントには、素晴らしい出来栄えであったカルベネ・フランを加えています。
パヴィヨン・ルージュ2011年の科学的分析数値が非常にクラシカルな仕上がりです:アルコール度数 13パーセント、pH値3.6。ただしタンニンの量は歴代最高値です。試飲までにはあと数年待つことをおすすめします。(2018年10月)
Margaux
気象条件
2011年のブドウ栽培の一年は、いわば夏のような気候でスタートしました。4月と5月は平年よりかなり暑く乾燥した気候で、ブドウの樹の生育開始や成長過程はとても早く進み、開花期は極めて早く訪れました。続く6月、7月、8月はむしろ涼しかったものの、特にマルゴー周辺では降雨量が少なく、このヴィンテージの特徴である乾燥した状態は変化することなく進みました。
また6月26日と27日は、これまでにない大規模な酷暑に見舞われました。早熟な年だったため、すでに色付き期を迎えようとしていたブドウの房、とりわけ逞しさに欠けるカベルネ・ソーヴィニヨンの区画の多くは、エショダージュ(過度の熱により、ブドウの生育が停止する害)を受け、場合によっては大きな被害を伴いました。通常であれば大事に至らないであろうこの被害も、おそらく、3か月間に及んだ日照りによる水不足のために拡大したのでしょう。
白ブドウ品種は8月25日から、黒ブドウ品種は9月5日からスタートした収穫は、暑くて乾燥した気候に恵まれました。そのおかげで、エショダージュ被害によって必須となった数々の選果作業も、急がず慎重に行うことができました。ただ唯一、私たちが失望したことは、収穫量です。1ha当たり29 hlとなり、2011年ヴィンテージは過去20年で最も少ない収量となってしまいました!