2012

マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー

2012
現在、2011年ものより開いているマルゴー・デュ・シャトー・マルゴー 2012は、非常に濃厚なワインで、黒色系果実やスパイス、花の複雑な香りがやや間をおいて広がります。非常に純粋な香りのあとに来るのは、バランスが良く繊細な、フレッシュで心地良い口当たり。タンニンは濃密で存在感がありますが、これほど若いワインでありながらシルクのような素晴らしいなめらかさをもっているので気になりません。パヴィヨン・ルージュの深みや複雑さはないものの、こちらも、優しさと力強さ、フレッシュさと熟成感を合わせ持ったワインを生みだす、このテロワールならではの個性を映し出していることに変わりはありません。若いうちに美味しく飲んでいただきたいワインですが、数十年の保存に耐える力も備えています。

Margaux

気象条件

2012年の気候条件は非常に典型的なものでした。2月を中心に寒い冬の後にやってきた春は非常に湿度が高く、9月20日から雨が降り始める前の夏は非常に乾燥していました。



7月15日まで続いた豊かな雨量により、べと病が非常に拡大しやすい条件が生まれました。しかし、今年は生物学的な防止プログラムを強化しており、それが功を奏しました。そのプログラムというのは10年前から殺虫剤を全く使わないというだけでなく、通常7または8つの化学的な処理を行うにもかかわらず、2012年には1つの手段のみをグラン・ヴァンの区画に用いるというものでした。これでやっと収穫に近づいてきました…

7月15日からは非常に乾燥した日々が続き、暑さもそれほどではありませんでしたが、それでも数日間は猛暑日を経験しました。このような気候条件は、ボルドーのクラシックな優れたミレジメの典型的なものです。これらの気候条件により成熟して濃厚なブドウが誕生するのです。あまり良くないテロワールと若いブドウの木のみが、非常に湿度の高い春と非常に乾燥した夏への移り変わりに苦しみました。

秋を迎えるとすぐに天候が変化しました。9月20日から定期的にわずかな降雨がありましたが、これらの雨はブドウの成熟と健全さを失わせるには遅いものでした。しかし、2012年をグラン・ミレジメにするのを妨げた要因となったのかもしれません。

白ワイン用のブドウの収穫は9月10日から14日まで行われ、赤ワイン用のブドウは9月25日から10月16日まで行われました。まさに条件が悪化する直前のタイミングで収穫が行われたのです…